米朝師直系の至芸(本店より)。

数多い米朝一門にあって、実力的にも人気的にも最も師匠に近いところにいたのが、こちらに紹介する吉朝さんだったと、そう思われる落語ファンの方は多いのではないでしょうか。

私は一度だけしか生の高座に接することができなかったのですが、その時の「高津の富」は今でも覚えています。
あの噺のクライマックス、貼り出された当選番号と当たっている自分のくじを見比べながらも、俄かに理解できないでいる主人公の様子をいかにそれらしく観せるか。これが演者の腕の見せ所なんですが、この日は客席の子供が「当たってるで」と声に出してしまい、それがウケるというアクシデントが。並の演者ならここで緊張の糸が切れてしまいそうなところですが、さすがは吉朝さん、クサることなくすぐに持ち直して客席を引き込んでいくあたりが見事でした。

彼が生前、国立劇場の高座TBS「落語研究会」に残した数々の名口演を集大成したDVDが入荷しています。
この手のセット物が入荷することはそれほど多くありません。
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